無機化学で電子の遮蔽と貫入を学んだときに、ふつう有効殻電荷もセットで学びますよね。
その後、大学生なら授業後の課題やレポートで「この原子の中のこの電子有効殻電荷を求めよ」みたいなことを聞かれることも多いんじゃないでしょうか?
ここではそんな問題に対処できるように、1から有効殻電荷の求め方を解説していきます!
有効殻電荷とは?
有効殻電荷とは、電子の遮蔽と貫入を考慮した、着目している電子に有効に働く殻電荷のこと。
実際の殻電荷より小さくなります。
有効殻電荷の求め方
スレーターの規則を用意する
有効殻電荷を求めるには、「スレーターの規則」を使います(ちなみにこれは経験則です)
スレーターの規則とは、有効殻電荷を求めるもので、
Zeff = Z – σ(Z:原子番号、 Zeff:有効核電荷、σ:遮蔽定数の総和)
が成り立ちます。
遮蔽定数を求め、原子番号から引く
まず、電子たちを
グループ: [1s][2s2p][3s3p][3d][4s4p][4d][4f]……
のように分けます。
その後は、注目する電子が属する軌道によって2通りに分かれます。
当該電子がsまたはp軌道に存在する場合
- 外側のグループの電子のσは0とする。
- 同じグループの電子のσへの寄与は0.35とする。
- 内側のグループの(n-1)の主量子数を持つ電子のσへの寄与は0.85とする。
- さらに深部の主量子数を持つ電子の寄与は1.00とする。
例として、27Coの4s電子に働く有効殻電荷を求めてみましょう。
電子配置は、27Co:[1s2][2s22p6][3s23p6] [3d7] [4s2] のようになっているので、
Z* = 27-{1×2(1s) -1×8(2s, 2p)-0.85×8(3s, 3p) -0.85×7(3d)-0.35×1(4s)}
= 3.9
よって有効殻電荷は3.9です!
当該電子がdまたはf軌道に存在する場合
- 外側のグループの電子のσは0とする。
- 同じグループの電子のσへの寄与は0.35とする。
- 内側のグループの電子の寄与は全て1.00とする。
先ほどと同じように、今度は27Coの3d電子の有効殻電荷を考えてみましょう。
電子配置は、27Co:[1s2][2s22p6][3s23p6] [3d7] [4s2] だから、
Z* = 27-{1×2(1s) -1×8(2s, 2p)-1×8(3s, 3p)-0.35×6(3d)}
= 6.9
いかがでしたか?
先の2つの例が理解できれば有効殻電荷の求め方はばっちりです!!!
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