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銅と希硝酸、濃硝酸の反応の反応式の導出

銅(Cu)は酸化力の強い酸と反応しますが、酸の濃度によって反応が異なります。ここでは、希硝酸濃硝酸の場合の化学反応式を導出する方法を説明します。


目次

銅と希硝酸の反応

(1) 反応の概要

希硝酸(\(\ce{HNO3}\))は酸化力が弱いため、銅を溶かすには還元剤(電子を与える物質)として作用する必要があります。このとき、生成される還元生成物は \(\ce{NO}\) (一酸化窒素)です。

(2) 酸化還元反応を考える

銅が電子を失い、銅イオン \(\ce{Cu^{2+}} \)になる反応: \(\large{\ce{Cu -> Cu^{2+} + 2e^-}}\)

硝酸の主成分である \(\ce{HNO3}\) の中の硝酸イオン \(\ce{NO3^-}\) は、酸化剤として作用し、一酸化窒素 \(\ce{NO}\) を生成する: \(\large{\ce{NO3^- + 4H^+ + 3e^- -> NO + 2H2O}}\)

(3) 半反応式の調整と合成

上記の半反応式を電子数を揃えて加える:

  • 銅の酸化反応:\(\large{\ce{Cu -> Cu^{2+} + 2e^-}}\) (×3)
  • 硝酸イオンの還元反応:\(\large{\ce{NO3^- + 4H^+ + 3e^- -> NO + 2H2O}}\) (×2)

これを加えると: \(\large{\ce{3Cu + 2NO3^- + 8H^+ -> 3Cu^{2+} + 2NO + 4H2O}}\)

実際にはイオンはイオン対を形成するので、\(\ce{Cu2+}\)は\(\ce{Cu(NO)2}\)として存在しています。それを考慮して両辺に\(\ce{2NO3^-}\)を足して完成です。

\(\Large{\ce{3Cu + 8HNO3 -> 3Cu(NO3)2 + 2NO + 4H2O}}\)


銅と濃硝酸の反応

(1) 反応の概要

濃硝酸は希硝酸よりも強い酸化力を持つため、還元生成物は \(\ce{NO2}\) (二酸化窒素)になります。

(2) 酸化還元反応を考える

銅が電子を失い、銅イオン \(\ce{Cu^{2+}}\) になる反応: \(\large{\ce{Cu -> Cu^{2+} + 2e^-}}\)

硝酸イオン \(\ce{NO3^-}\) が \(\ce{NO2}\) に還元される反応: \(\large{\ce{NO3^- + 2H^+ + e^- -> NO2 + H2O}}\)

(3) 半反応式の調整と合成

  • 銅の酸化反応:\(\large{\ce{Cu -> Cu^{2+} + 2e^-}}\)
  • 硝酸イオンの還元反応:\(\large{\ce{NO3^- + 2H^+ + e^- -> NO2 + H2O}}\) (×2)

これを加えると: \(\large{\ce{Cu + 2NO3^- + 4H^+ -> Cu^{2+} + 2NO2 + 2H2O}}\)

実際には、イオンはイオン対を形成するので、\(\ce{Cu2+}\)は\(\ce{Cu(NO)2}\)として存在しています。それを考慮して両辺に\(\ce{6NO3^-}\)を足して完成です。

\(\Large{\ce{Cu + 4HNO3+ -> Cu(NO3)2 + 2NO2 + 2H2O}}\)


まとめ

反応系酸化還元生成物化学反応式
希硝酸\(\ce{NO}\)\(\ce{3Cu + 2NO3^- + 8H^+ -> 3Cu^{2+} + 2NO + 4H2O}\)
濃硝酸\(\ce{NO2}\)\(\ce{Cu + 2NO3^- + 4H^+ -> Cu^{2+} + 2NO2 + 2H2O}\)

導出のポイント

  • 銅の酸化(\(\ce{Cu -> Cu^{2+} + 2e^-}\))をまず考える。
  • 硝酸イオンの還元が \(\ce{NO}\) (希硝酸のとき)なのか \(\ce{NO2}\) (濃硝酸のとき)なのかを区別する。
  • 電子数を合わせて半反応式を合成する。

この手順を意識すれば、他の酸化還元反応の化学反応式も導出しやすくなります!

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