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【高校化学】気体発生のパターンを徹底解説

化学実験や試験問題では、特定の反応から気体が発生するパターンを理解することが重要です。本記事では、気体が発生する代表的なパターンと具体例をまとめます。

目次

気体発生のパターン

まず、気体発生のパターンを大まかに7つに分類します。

発生方法加熱の有無生成できる気体
弱酸・弱塩基遊離×a)CO2, SO2, H2S, C2H2, NH3
酸化還元反応H2, Cl2
希硝酸, 濃硝酸, 熱濃硫酸を酸化剤として利用NO, NO2, SO2
揮発性酸の追い出しHCl, HF
分解反応O2, CO2
濃硫酸による脱水反応CO, C2H4
その他(無声放電, 脱炭酸)O3, CH4

a) NH4Cl + Ca(OH)2 の反応は固体と固体の反応なので加熱が必要。

ここで、加熱の有無について載せている理由ですが、試験中に問題を解くうえでのヒントを増やすためです。

加熱が必要な原因は様々で、主に以下の3つがあります。

  • 固体の融解 ex) NH4Cl + Ca(OH)2
  • 反応の促進 ex) 分解反応, 脱水反応
  • 気体を反応系から出す(ルシャトリエの原理) ex) 揮発性酸の追い出し

加熱する理由も合わせて覚えておくと便利です。

弱酸・弱塩基遊離

CO2

製法①:石灰石に塩酸を注ぐ

反応式①:\(\large{\ce{CaCO3 + 2HCl -> H2O + CO2 + CaCl2}}\)

製法②:重曹に塩酸を注ぐ

反応式②:\(\large{\ce{NaHCO3 + HCl -> H2O + CO2 + NaCl}}\)

他にも、CO2は炭酸水素ナトリウムの分解でも発生します。

SO2

製法:亜硫酸ナトリウムに硫酸を注ぐ

反応式:\(\ce{\large{ Na2SO3 + H2SO4 -> H2O + SO2 + Na2SO4 }}\)

この反応はあんまり出てこないです。

H2S

製法:硫化鉄(Ⅱ)に希硫酸を注ぐ

反応式:\(\large{\ce{FeS + H2SO4 -> H2S + FeSO4}}\)

酸化力が大きくH2Sを酸化してしまう硝酸や濃硫酸は使えません。

C2H2

製法:カルシウムカーバイドに水を注ぐ

反応式:\(\large{\ce{CaC2 + 2H2O -> C2H2 + Ca(OH)2}}\)

水中で反応が進むため、CaOはCa(OH)2になっています。

NH3

製法:塩化アンモニウムに消石灰を混ぜて加熱する

反応式:\(\large{\ce{2NH4Cl + Ca(OH)2 -> 2NH3 + 2H2O + CaCl2}}\)

酸化還元反応

H2

製法①:亜鉛に希硫酸を注ぐ

反応式①:\(\large{\ce{Zn + H2SO4 -> ZnSO4 + H2}}\)

製法②:亜鉛に希塩酸を注ぐ

反応式②:\(\large{\ce{2Zn + 2HCl -> ZnCl2 + H2 }}\)

このほかにも、イオン化傾向の大きい金属+酸の組み合わせで生成できます

Cl2

製法:酸化マンガン(Ⅳ)に濃硫酸を加えて加熱する

反応式:\(\large{\ce{ 4HCl + MnO2 -> Cl2 + 2H2O + MnCl2}}\)

過酸化水素の分解と違って二酸化マンガンは触媒じゃないです

希硝酸・濃硝酸・熱濃硫酸を酸化剤として利用

NO

製法:銅に希硝酸を注ぐ

反応式:\(\large{\ce{3Cu + 8HNO3 -> 3Cu(NO3)2 + 2NO + 4H2O}}\)

NO2

製法:銅に濃硝酸を注ぐ

\(\large{\ce{Cu + 8HNO3-> 3Cu(NO3)2 + 2NO + 2H2O}}\)

SO2

製法:銅に濃硫酸を注いで加熱

\(\large{\ce{Cu + 2H2SO4-> CuSO4 + SO2 + Na2SO4}}\)

揮発性酸の追い出し

HCl

製法:食塩に濃硫酸を加えて加熱する。

反応式:\(\large{\ce{ NaCl + H2SO4-> HCl + NaHSO4}}\)

生じるのはNaHSO4です!ただし高温ではNa2SO4が出来ます。

HF

製法:蛍石(ほたるいし)に濃硫酸を加えて加熱する

反応式:\(\large{\ce{CaF2 + H2SO4 -> 2HF + CaSO4}}\)

蛍石は構造も重要です。(蛍石型構造)

分解反応

O2

製法①:酸化マンガン(Ⅳ)に過酸化水素そ注ぐ

反応式①:\(\large{\ce{ 2H2O2-> O2 + 2H2O}}\)

製法②:塩素酸カリウムに酸化マンガンを加えて加熱

反応式②:\(\large{\ce{2KClO ->3O2 + 2KCl }}\)

ここでは分解反応としての特徴で分けてありますが、どちらも酸化還元反応でもあります。(酸素の還元)

CO2

製法:炭酸水素ナトリウムを加熱する

反応式:\(\large{\ce{ 2NaHCO3-> Na2CO3 + H2O + CO2}}\)

二酸化炭素は弱酸遊離でも作れるので作り方が豊富です。

濃硫酸による脱水反応

CO

製法①:ギ酸に濃硫酸を加えて加熱する

反応式①:\(\large{\ce{HCOOH ->H2O + CO }}\)

製法②:シュウ酸に濃硫酸を加えて加熱する

反応式②:\(\large{\ce{H2C2O4 ->H2O + CO + CO2 }}\)

これらの反応は忘れやすいので注意が必要です

C2O4

製法:エタノールに濃硫酸を加えて加熱する

反応式:\(\large{\ce{C2H5OH ->H2O + C2H4 }}\)

これはかなりマニアックな反応だと思います。

無声放電・脱炭酸

O3

製法:乾いた空気中で無声放電する

反応式:\(\large{\ce{ 3O2->2O3 }}\)

問題によっては酸素の紫外線照射(ラジカル反応)の方を出してきます。

オゾンは有機化学で二重結合の切断(オゾン分解)に使うことも覚えておくと便利です。

CH4

製法:酢酸ナトリウムに水酸化ナトリウムを混ぜて加熱する

反応式:\(\large{\ce{ CH3COONa + NaOH->Na2CO3 + CH4 }}\)

これもマニアックは反応です。

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