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定容熱容量と定圧熱容量の差を大学チックに求めてみる

今回はタイトルの通り、定容熱容量(\(C_v\))と定圧熱容量(\(C_p\))の差を大学チックに求めてみたいと思います。

理想気体において(単原子分子である必要はない)、マイヤーの関係式\(C_p = C_v + R \) が成り立つのは高校物理で習ったと思います。

それを今回は微分記号を使って証明していきます!

今回使うのは以下の3つの式。

$$dU = (\frac{∂U}{∂T})_V dT + (\frac{∂U}{∂V})_T dV ・・・①$$

$$dU = (\frac{∂U}{∂T})_p dT + (\frac{∂U}{∂p})_T dp ・・・②$$

$$dV = (\frac{∂V}{∂T})_p dT + (\frac{∂V}{∂p})_T dp ・・・③$$

①, ②, ③式はそれぞれ「UをTとVの関数」、「UをTとpの関数」、「VをTとp の関数」として考えて全微分したものです。(例えばUをTとVの関数として考えるとは、Uを\(U(T, V)\)として考えるってことです。)

③を①に代入して、

\begin{align}dU &= (\frac{∂U}{∂T})_V dT + (\frac{∂U}{∂V})_T (\frac{∂V}{∂T})_p dT + (\frac{∂V}{∂p})_T dp \\ &= \{(\frac{∂U}{∂T})_V + (\frac{∂U}{∂V})_T (\frac{∂V}{∂T})_p \} dT + (\frac{∂V}{∂p})_T dp ・・・④ \end{align}

ここで、②式と④式はどちらも\(dU\)についての式だから、dT部分にかけられているものに注目して、

\( (\frac{∂U}{∂T})_p = (\frac{∂U}{∂T})_V + (\frac{∂U}{∂V})_T (\frac{∂V}{∂T})_p\)・・・⑤

ここで、エンタルピーの定義式を定圧条件下でTについて微分すると、

\( (\frac{∂H}{∂T})_p = (\frac{∂U}{∂T})_p + p (\frac{∂V}{∂T})_p\)・・・⑥

⑤を⑥に代入して整理すると、

\(\frac{∂H}{∂T}_p – \frac{∂U}{∂T}_V = \frac{∂U}{∂V}_T \frac{∂V}{∂T}_p +p \frac{∂V}{∂T}_p\)

\(\frac{∂H}{∂T}_p = C_p , \frac{∂U}{∂T}_V = C_V\) だから、

\( C_p – C_V = \{p + \frac{∂U}{∂V}_T\} \frac{∂V}{∂T}_p\)

気体では、\(V = \frac{nRT}{p}\)だから、\(\frac{∂U}{∂V}_T = 0\)

また、\(\frac{∂V}{∂T}_p = \frac{nR}{p}\)となる。

よって、

\(C_p – C_V = (p + 0)\frac{nR}{p} = nR\)

\(\Leftrightarrow C_p,m – C_V,m = R\)

ただし、\(C_p,m\)は定圧モル比熱、\(C_V,m\)は定積モル比熱である。

(証明終わり)

ちなみに、液体や固体の場合、\(C_p \approx C_V\)として大丈夫です!

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • ⑤を⑥に代入して整理すると、
    ∂H∂Tp–∂U∂TV=∂U∂VT∂V∂Tp+∂V∂Tp

    この部分の右辺の一つ目の項の(∂U/∂V)_T*(∂V/∂T)_pのうち、(∂V/∂T)_pの∂Vはどこからでてきたのですか?

    • コメントありがとうございます!
      (∂V/∂T)_pの∂Vは上の式で(∂V/∂T)_pの所を間違えて(∂U/∂T)_pと書いてしまっていたことによるミスにより、突然出てきたような印象が与えられてしまったのだと思います。実際は体積を微分して導出した式なため、(∂V/∂T)_pが正しく、(∂U/∂T)_pが誤っていました。申し訳ございません。
      全て修正してありますので、再度ざっと見てもらえると嬉しいです。

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