高分子を学ぶと、アニオン重合とカチオン重合(あとラジカル重合と配位重合)の重合について学ぶことになると思います。
ラジカル重合はラジカルを使った反応でイメージしやすいし(ただし反応は複雑)、配位重合も高校で学ぶポリエチレンテレフタラート(PET)の重合を思い浮かべれば理解できると思います。
なのでこの記事では、アニオン重合とカチオン重合に焦点をあてて、具体例とともに解説します!
それぞれの反応
まずはそれぞれの反応についてみていきます。
アニオン重合
まずアニオン重合です。開始剤が「RM」のときのアニオン重合の例(開始反応と成長反応)を下に挙げてます。
間違えやすいですが、対イオンはカチオンです。
R–が求核攻撃して反応が開始し、M+が安定化する対イオンになります。
ここまでがアニオン重合です。
停止反応は、溶媒中の不純物(アルコールや水)と反応して起こることが多いです。
カチオン重合
次はカチオン重合です。反応自体はさっきのアニオン重合の「プラスとマイナスを逆にしたもの」っていうように考えればいいと思います。
さっきのアニオン重合の例では一般化して開始剤を「RM」としましたが、カチオン重合の方は具体的に、開始剤を「HCl」でやってます。
停止反応はアニオン重合の場合と違い、対イオンとの再結合が多いです。連鎖移動反応もします。
停止反応が違うわけ
アニオン重合とカチオン重合の停止反応が違う理由ですが、それはカルボアニオンとカルボカチオンの安定性の違いから来ています。
カルボアニオンはsp3混成軌道で比較的安定ですが、カルボカチオンの方は(ラジカルと同じく)sp2で、不安定です。
したがって、カチオン重合では、カルボカチオンが対イオンと結合して反応を止めやすいです。ちなみにこのせいで、カチオン重合はアニオン重合より分子量の低い生成物(数千から数万)ができやすいです。
それぞれの重合が出来るモノマー例
最後にモノマーの例を挙げて終わります。
それぞれの開始反応をもう一度載せると、
このようになります。
それぞれ、対イオンが安定化してくれているとはいえ、アニオン重合はカルボアニオンができ、カチオン重合ではカルボカチオンが出来ています。
そのため、モノマーは、それぞれを安定化する置換基を持っている必要があります。
つまり、アニオン重合のモノマーは電子吸引性の置換基(ーCNなど)、カチオン重合のモノマーは電子供与性の置換基(ーORなど)を持っているのが特徴です。
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