物理化学の黒体放射のところで出てくるプランクの法則・Wienの式・レイリーの式の3式の関係を解説していきます!
それぞれの式の形
まず、確認のために、それぞれの式の形を載せておきます。
\(\Large{d \rho = \frac{8 \pi a_1 \nu^3} {c^3}\frac{1}{exp(\frac{a_2\nu}{T})-1}d\nu}\)
\(\Large{d \rho = \frac{8 \pi a_1 \nu^3} {c^3}exp(-\frac{a_2\nu}{T})d\nu }\)
\(\Large{d \rho = \frac{8 \pi k T \nu^2} {c^3}d\nu }\)
このようになってますよね。
ちなみに、\(\rho \)はエネルギー密度、\(c\)は光の速度、\(\nu\)は振動数を表しています。
ただし、教科書、参考書によっては、c=\(\nu\\lambda )などの式を使って、これを変形したものを使っていることもあります。
3式の関係
プランクの式・Wienの式・レイリーの式の関係ですが、
Wienの式は高振動数領域でプランクの式と一致し、
レイリーの式は低振動数領域でプランクの式と一致します。
次はなぜそんなことが言えるのかを解説していきます。
プランクの式とWienの式の関係を導出
上にも書きましたが、プランクの式とWienの式は、高振動数領域(短波長領域)で一致すると見なせます。
なぜそう言えるのかですが、
振動数(\(\nu\))が大きいとき、\(\Large{exp\frac{a_2\nu}{T}-1 =exp\frac{a_2\nu}{T}}\)と近似できるので、
プランクの式は、
\(\Large{d \rho = \frac{8 \pi a_1 \nu^3} {c^3}\frac{1}{exp(\frac{a_2\nu}{T})-1}d\nu}\)
\(\Large{d \rho = \frac{8 \pi a_1 \nu^3} {c^3}\frac{1}{exp(\frac{a_2\nu}{T})}d\nu}\)
\(\Large{d \rho = \frac{8 \pi a_1 \nu^3} {c^3}{exp(-\frac{a_2\nu}{T})}d\nu}\)
というように、Wienの式に変形できるからです。
以上、
\(exp\frac{a_2\nu}{T}-1 \approx exp\frac{a_2\nu}{T}\)
を使った近似でした。
プランクの式とレイリーの式の関係を導出
次はレイリーの式です。
こっちは少々難しくて、マクローリン展開を使います。
\(f(x) = \displaystyle\sum_{k=0}^{\infty}f^(k)(0)\frac{x^k}{k!}\)
今回は\(e^x\)のマクローリン展開をします。上の式より、
\(\Large{e^x = 1 + x + \frac{x^2}{2!} + …}\)
そして、xがすごく小さいときは、
\(\Large{e^x \approx 1 + x }\)
とできます。いわゆる一次近似ですね。
低振動数領域なので、\(\nu<< 1\)を考えて、一次近似が使えます。
これを使うと、プランクの式は以下のように変形できます。
\(\Large{d \rho = \frac{8 \pi a_1 \nu^3} {c^3}\frac{1}{exp(\frac{a_2\nu}{T})-1}d\nu}\)
\(\Large{d \rho = \frac{8 \pi a_1 \nu^3} {c^3}\frac{1}{(1+\frac{a_2\nu}{T})-1}d\nu}\)
\(\Large{d \rho = \frac{8 \pi a_1 \nu^3} {c^3}\frac{1}{\frac{a_2\nu}{T}}d\nu}\)
\(\Large{d \rho = \frac{8 \pi \nu^3} {c^3}\frac{a_1}{a_2}\frac{1}{\frac{\nu}{T}}d\nu}\)
=\(\Large{d \rho = \frac{8 \pi k T \nu^2} {c^3}d\nu }\) \(\Large{(k = \frac{a_1}{a_2}})\)
これで、一次近似を使って、プランクの式とレイリーの式をつなげることが出来ました!
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