シュレディンガー方程式が厳密に解けない系であるとき、量子力学を適応するための2つある方法のうち、片方が「摂動論」です。(もう一つが変分法)
今回はこの摂動論を実際に使って、傾いた1次元の箱の中の粒子のエネルギーを求めてみます!
問題
底が傾いた1次元の箱の中の粒子のエネルギーを摂動論を用いて計算せよ。
ただし、
\(\Large{V(x) = \frac{V_0 x}{2a} (0 \leqq x \leqq a)}\)
とし、使うのは1次の摂動論だとする。
解答
知ってないといけないこと
傾きのない1次元の箱(0≦x≦a)のなかの粒子の波動関数とエネルギー
\(\Large{\psi_0 = \sqrt{\frac{2}{a}} sin\frac{n\pi x}{a}}\)
\(\Large{E_n ^(0) = \frac{n^2 h^2}{8ma^2} n = 1, 2, 3, …}\)
これらを使って、傾いた箱の中の粒子のエネルギーを求めていきます!
実際の求め方
摂動がない場合として、平らな箱の中の粒子を考える
そのとき、摂動項は、
\(\Large{H^{(1)} = \frac{V_0}{a} x (0 \leqq x \leqq a) } \)
平らな箱の中の粒子の場合、波動関数とエネルギーは、
\(\Large{\psi_0 = \sqrt{\frac{2}{a}} sin\frac{n\pi x}{a}}\)
\(\Large{E_n ^{(0)} = \frac{n^2 h^2}{8ma^2} n = 1, 2, 3, …}\)
で表されるため、
摂動による\(\Large{E^{(0)}}\)への1次の補正(\(\Large{E^{(1)}}\))は、
\(\Large{E^{(1)} = \displaystyle \int_{0}^{a}\psi ^{(0)*} (\frac{V_0}{a}x) \psi^{(0)}dx}\)
\(\Large{= \frac{2V_0}{a^2} \displaystyle \int_{0}^{a} x sin^2 \frac{n \pi x}{a}dx }\)
\(\Large{= … = \frac{V_0}{2}}\)
したがって、
\(\Large{ E = E^{(0)} + E^{(1)} = \frac{n^2 h^2}{8 m a^2} + \frac{V_0}{2}}\)
これで傾いた箱の中の粒子のエネルギーが求まりました!
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