この記事では、有機化学における重要な反応である、アルドール縮合について解説します。
アルドール縮合は、カルボニル化合物(アルデヒドやケトン)がアルファ位の水素を持つ場合に起こる反応です!
反応機構
アルドール縮合の反応機構は、以下のステップに分けられます。
- エノラート形成
- アルデヒドやケトンが塩基(例えば水酸化ナトリウムやエタノラート)によりα-水素を失い、エノラートイオンを生成します。
- カルボニル基へのアタック
- 生成したエノラートイオンが別のカルボニル化合物のカルボニル炭素を攻撃し、新しい炭素-炭素結合を形成します。
- 中間体の生成
- これにより、β-ヒドロキシアルデヒドまたはβ-ヒドロキシケトンというアルドール反応生成物が生成されます。
- 脱水反応(必要に応じて)
- 反応生成物が脱水反応を経てα,β-不飽和カルボニル化合物を生成することがあります。
これを読んでもよく分からないと思うので、具体例を通して、実際に反応機構を見てみましょう!
具体例
例えば、アセトアルデヒド(CH₃CHO)とベンズアルデヒド(C6H5CHO)のアルドール縮合反応を考えてみます。
具体的には、以下のような反応です。
ちなみに、アセトアルデヒドをゆっくり添加するのは、アセトアルデヒド同士が反応しないためです。
この反応を例に反応機構を理解していきましょう!
1. エノラート形成
まず、α-水素を持つアセトアルデヒドに塩基(今回はNaOH)が攻撃して、α-水素を抜きます。
反応機構は以下のような感じです。
これで、二重結合の横にO–イオンがある、エノラートイオンが出来ます!
2. カルボニル基へのアタック
次の反応では、さっきできたエノラートイオンが、カルボニル基へアタックします。
今回の反応条件では、たくさんあるベンズアルデヒドの中にアセトアルデヒドをゆっくり添加していく方法をとっているので、アセトアルデヒドがエノラート化すれば、すぐに周りのベンズアルデヒドを攻撃します。
ここで大切なのが、エノラートイオンが求核剤、カルボニル基が求電子剤になっているということです。
上の図を見てほしいのですが、エノラートイオンは酸素が電子をあげるので炭素の電子が余っており、逆にカルボニル基では酸素が電子を奪うので炭素は電子不足になっています。
これにより、求核剤と求電子剤ができるのですね。
3. 中間体の生成
次は中間体の生成です。
水とアルコールでは、酸性度がアルコールの方が低いので、近くにある水の水素を、アルコールが奪います。
この反応は簡単ですね。
4. 脱水反応
脱水反応は2段階あるので、まず1段階目を解説します。
1つ目の反応は、一番最初にやった、エノラートイオンの生成反応とほとんど同じです。
カルボニル基のα-水素を塩基が脱プロトン化します。最初の反応が理解できていれば簡単ですね。
つぎは2つ目の反応です。
イメージとしては、エノラートイオンがもとに戻って、そのついでにOH–が抜けるって感じです。
脱水反応の内訳としては、1つ目の反応でH+が抜けて、2つ目の反応でOH–が抜けることで脱水が完了することになります。
これでアルドール縮合は完了です!
ちなみに、アルドール縮合でできたものは、α, β-不飽和アルデヒド(またはケトン)と呼ばれます。
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