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電池の種類と特徴を19種類まとめてみました

目次

各種電池の反応と特徴

以下に、ご提示いただいた各種電池の正極反応と負極反応、そして特徴をまとめました。

1. ダニエル電池

  • 正極反応: $\ce{Cu^{2+}(aq) + 2e^- -> Cu(s)}$
  • 負極反応: $\ce{Zn(s) -> Zn^{2+}(aq) + 2e^-}$
  • 特徴: 持続的に安定した電流を供給できるため、実験用途や基礎的な電池学習に使用される。

2. ボルタ電池

  • 正極反応: $\ce{2H^+(aq) + 2e^- -> H_2(g)}$
  • 負極反応: $\ce{Zn(s) -> Zn^{2+}(aq) + 2e^-}$
  • 特徴: 構造が単純で作りやすいが、水素が発生して極板を覆い、電圧が急速に低下する「分極」現象が起こるため、持続性に乏しい。充電はできない。

3. 鉛蓄電池

  • 正極反応: $\ce{PbO_2(s) + 4H^+(aq) + SO_4^{2-}(aq) + 2e^- <=> PbSO_4(s) + 2H_2O(l)}$
  • 負極反応: $\ce{Pb(s) + SO_4^{2-}(aq) <=> PbSO_4(s) + 2e^-}$
  • 特徴: 電圧が安定しており、大電流を供給できる。再充電可能だが、放電・充電を繰り返すことで劣化し、硫酸鉛の結晶化(サルフェーション)が発生する。重量があり、環境負荷が高いため、代替技術が求められている。

4. ルクランシェ電池(マンガン乾電池)

  • 正極反応: $\ce{2MnO_2(s) + 2NH_4^+(aq) + 2e^- -> Mn_2O_3(s) + 2NH_3(aq) + H_2O(l)}$
    • 実際にはさらに複雑な反応が進行します。
  • 負極反応: $\ce{Zn(s) -> Zn^{2+}(aq) + 2e^-}$
  • 特徴: 安価で製造できるため、広く一般家庭で使用。使い捨て電池であり、容量が限られる。長時間放置すると自己放電しやすい。

5. アルカリ型乾電池

  • 正極反応: $\ce{2MnO_2(s) + H_2O(l) + 2e^- -> Mn_2O_3(s) + 2OH^-(aq)}$
  • 負極反応: $\ce{Zn(s) + 2OH^-(aq) -> ZnO(s) + H_2O(l) + 2e^-}$
  • 特徴: 放電特性が良好で、長時間の使用が可能。漏液しにくく、保存寿命が長い。ルクランシェ電池に比べ高価だが、コストパフォーマンスに優れる。

6. 空気電池

  • 正極反応 (酸性): $\ce{O_2(g) + 4H^+(aq) + 4e^- -> 2H_2O(l)}$
  • 正極反応 (アルカリ性): $\ce{O_2(g) + 2H_2O(l) + 4e^- -> 4OH^-(aq)}$
  • 負極反応 (亜鉛): $\ce{Zn(s) -> Zn^{2+}(aq) + 2e^-}$ (酸性)
  • 負極反応 (亜鉛): $\ce{Zn(s) + 2OH^-(aq) -> ZnO(s) + H_2O(l) + 2e^-}$ (アルカリ性)
  • 特徴: 軽量で高エネルギー密度を提供。主に時計や小型機器に使用される。

7. ニッカド電池

  • 正極反応: $\ce{Ni(OH)_2(s) + OH^-(aq) <=> NiO(OH)(s) + H_2O(l) + e^-}$
  • 負極反応: $\ce{Cd(OH)_2(s) + 2e^- <=> Cd(s) + 2OH^-(aq)}$
  • 特徴: 耐久性があり、高出力を提供するが、カドミウムが有害であるため、環境への影響が問題となっている。メモリー効果がある。

8. エジソン電池

  • 正極反応: $\ce{Ni(OH)_2(s) + OH^-(aq) <=> NiO(OH)(s) + H_2O(l) + e^-}$
  • 負極反応: $\ce{Fe(s) + 2OH^-(aq) <=> Fe(OH)_2(s) + 2e^-}$
  • 特徴: 高い耐久性を持ち、初期の電動車両や産業機器に利用された。過充電や過放電に強い。

9. ニッケル水素電池

  • 正極反応: $\ce{Ni(OH)_2(s) + OH^-(aq) <=> NiO(OH)(s) + H_2O(l) + e^-}$
  • 負極反応: $\ce{MH(s) + OH^-(aq) <=> M(s) + H_2O(l) + e^-}$
    • MHは水素吸蔵合金を表します。
  • 特徴: ニッカド電池よりも容量が大きく、環境への影響が少ないため、現在では多くの電動機器や電気自動車に使用されている。メモリー効果はニッカド電池より小さい。

10. 水銀電池

  • 正極反応: $\ce{HgO(s) + H_2O(l) + 2e^- -> Hg(l) + 2OH^-(aq)}$
  • 負極反応: $\ce{Zn(s) + 2OH^-(aq) -> ZnO(s) + H_2O(l) + 2e^-}$
  • 特徴: 安定した電圧と高いエネルギー密度を提供するが、水銀の有害性が問題となり、現在では使用が制限されている。

11. 酸化銀電池

  • 正極反応: $\ce{Ag_2O(s) + H_2O(l) + 2e^- -> 2Ag(s) + 2OH^-(aq)}$
  • 負極反応: $\ce{Zn(s) + 2OH^-(aq) -> ZnO(s) + H_2O(l) + 2e^-}$
  • 特徴: 高いエネルギー密度を持ち、長寿命。主に小型電子機器(時計や補聴器など)に使用される。

12. 塩化銀電池

  • 正極反応: $\ce{AgCl(s) + e^- -> Ag(s) + Cl^-(aq)}$
  • 負極反応: $\ce{Zn(s) -> Zn^{2+}(aq) + 2e^-}$ (酸性)
  • 負極反応: $\ce{Zn(s) + 2OH^-(aq) -> ZnO(s) + H_2O(l) + 2e^-}$ (アルカリ性)
  • 特徴: 高温環境下でも安定した性能を発揮するため、特定の用途で使用される。

13. リチウム電池

  • 正極反応: $\ce{Li^+ + MnO_2(s) + e^- -> LiMnO_2(s)}$ (例: 二酸化マンガンリチウム電池)
    • 正極材料は様々です。
  • 負極反応: $\ce{Li(s) -> Li^+ + e^-}$
  • 特徴: 高いエネルギー密度を提供。軽量で長寿命のため、特にカメラや電子機器に利用される。

14. リチウムイオン電池

  • 正極反応: $\ce{LiCoO_2(s) <=> Li_{1-x}CoO_2(s) + xLi^+ + xe^-}$ (例: コバルト酸リチウム)
    • 正極材料は様々です。
  • 負極反応: $\ce{LiC_6(s) <=> C_6(s) + Li^+ + e^-}$ (例: グラファイト)
  • 特徴: 高いエネルギー密度、長寿命、軽量で、スマートフォンやノートパソコンなどの携帯型機器に広く使用されている。

15. 燃料電池 (水素-酸素型、アルカリ性電解質)

  • 正極反応: $\ce{O_2(g) + 2H_2O(l) + 4e^- -> 4OH^-(aq)}$
  • 負極反応: $\ce{2H_2(g) + 4OH^-(aq) -> 4H_2O(l) + 4e^-}$
  • 特徴: 水素と酸素を反応させて電気を生成する。クリーンエネルギーとして注目されており、燃料として水素を利用する。排出物は水のみ。

16. 濃淡電池 (銅電極、硫酸銅(II)水溶液)

  • 正極反応 (高濃度側): $\ce{Cu^{2+}(aq, high) + 2e^- -> Cu(s)}$
  • 負極反応 (低濃度側): $\ce{Cu(s) -> Cu^{2+}(aq, low) + 2e^-}$
  • 特徴: 電解質の濃度差を利用して電気を生成する。海水や異なる濃度の塩水を使用して発電する研究が進められている。

17. レドックスフロー電池(酸化還元電池、例: バナジウムレドックスフロー電池)

  • 正極反応: $\ce{V^{4+}(aq) <=> V^{5+}(aq) + e^-}$ (放電時)
  • 負極反応: $\ce{V^{3+}(aq) + e^- <=> V^{2+}(aq)}$ (放電時)
  • 特徴: 酸化還元反応を利用し、電解液を別のタンクに蓄え、必要に応じて供給する。大規模なエネルギー貯蔵システムに適している。

18. 局部電池 (鉄の腐食)

  • 正極反応 (酸性): $\ce{O_2(g) + 4H^+(aq) + 4e^- -> 2H_2O(l)}$
  • 正極反応 (中性・塩基性): $\ce{O_2(g) + 2H_2O(l) + 4e^- -> 4OH^-(aq)}$
  • 負極反応: $\ce{Fe(s) -> Fe^{2+}(aq) + 2e^-}$
  • 特徴: 局所的な電位差を利用した電池。通常、金属の腐食反応として見られる。センサーや小型機器に応用例がある。

19. 反芳香族電池

  • 現時点(2024年)では研究開発段階であり、具体的な正極・負極反応は公開されている情報が限られています。一般的に、反芳香族性を示す有機分子の酸化還元反応を利用すると考えられています。
  • 特徴: 従来のリチウム電池を超える容量が実現しているが、充電サイクル寿命に課題があり、実用化には至っていない。

これらの反応式と特徴は、電池の種類や電解質の種類によって異なる場合があります。より詳細な情報が必要な場合は、個別の電池についてさらに深く調べてみてください。

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