この記事では、α, β-不飽和アルデヒドの反応について反応機構を追いながら解説します!
α, β-不飽和アルデヒド・ケトンに特異的な反応(1-4付加)
共鳴構造について
この反応を理解するためには、α, β-不飽和アルデヒド・ケトンは、酸素-炭素二重結合と炭素-炭素二重結合が共役していることを抑えておく必要があります。
下の共鳴構造を見ると分かりやすいかもしれません。
この共鳴があるおかげで、α, β-不飽和アルデヒド・ケトンは1, 3-ブタジエンのような共役ジエンに見られた反応を起こします!
具体的な反応
上の共鳴構造を見ればわかると思うのですが、β炭素がカチオンになる構造をとると考えることが出来ます。
すると、β炭素に求核剤が攻撃する反応を起こすことが可能になります!
というわけで、具体的な反応を見ていきましょう。
反応の例を載せてみました。
今回使った求核剤はメチルアミン(CH3NH2)です。
反応は2ステップに分けられます。
1ステップ目
まず、メチルアミンがβ炭素に求核攻撃します。
また、2つある二重結合もそれにともないずれます。
2ステップ目
O–イオンの電子が再び二重結合を作り、それに伴って、O原子の左下にあった二重結合の電子がアミンのプロトンを引き抜き、N-H結合に使われていた電子はN原子のところに行きます。
そうして、反応が起こるわけですね。
ちなみに、1-4付加反応は共役π電子系で起こっているので、1-4共役付加反応とも呼ばれます。
1-2付加より1-4付加が優先的に起こる条件
ここまでで、1-4付加の反応機構を見てきたわけですが、実際は1-4付加ともう一つ1-2付加が起こる可能性があります。
1-2付加とは?(説明と反応例)
ここでいう1-2とは、カルボニル基への、(または二重結合への)単なる付加反応です。
カルボニル基への付加反応の例を載せておきます。
こんな感じの反応ですね。
1-2付加と1-4付加のまとめ
1-2付加(C=Oに付加)と1-4付加の最終生成物を比べてみましょう。上が1-2付加で、下が1-4付加です。
A-Qという分子が付加したときを考えています。 (A:CH3–, OH–など Q:H+など)
1-2付加より1-4付加が優先的に起こる条件
ここからは、1-2付加より1-4付加が優先的に起こる条件について考えていきます。
まず、A-Qという分子が、仮にCH3OHのような、アルコールだった時を考えてみましょう。
すると、1-2付加のときは、生成物がヘミアセタールとなり、不安定になってしまいます。
よって、アルコールを付加するときは、1-4付加が優先して進むというわけです。
アルコールの他に、アミンの1-2付加でも同じようなことが起こり、比較的不安定な「ヘミアセナール」が生成します。
したがって、水、アルコール、アミンのような求核剤は1-4付加をすると言っていいです。
ちなみに、このときの1-4付加は酸でも塩基でも進みますが、一般に塩基を用いた方が生成物が出来る速度が速く、かつ収率もいいです。
また、これとは関係なく、シアン化水素(HCN)も1-4付加反応をします。
これで今回の説明を終わります。お疲れ様でした!
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