大学の物理化学の授業ですぐ出てくるのが、「定常状態近似」。正直超重要です。
初見では戸惑うけど、実はそんなに難しくない。
早速解説していきます!!!
定常状態近似についてわかりやすく
ここからは具体例を通してみていきますね。
反応物Aが、生成物Cになる反応を例にとっていきたいと思います。
A→C
という反応が、
①:A→B (速い)
②:B→C (遅い)
の2つの素過程からできていたとする。
①の反応は早く、②の反応は遅いから、①の反応がどれだけ早く進んでも反応はそこで詰まってしまう。
その時どうなるかというと、①でできたBが逆反応を起こして、一部Aに戻ってしまう!
つまり、
①:A⇆B
②:B→C
ってなる!
①で平衡が成り立っているので、AとBの量比は一定で変化がない。
このモデルを「定常状態近似」という!
中間体(反応の最中だけできるもの)の濃度が変わらないとするのが定常状態近似。
定常状態近似の問題
先ほどの、
①:A→B (速い)
②:B→C (遅い)
を例に解説しよう。
さっき説明したように、これに定常状態近似を使うと、
①:A⇆B
②:B→C
こうなる。
つまり、[B](Bの濃度)が一定だとみなせる!(ここ重要)
正直、中間体の濃度一定さえ知ってれば問題は解ける。
濃度一定ということは、
d[B]/dt = 0
ということ。
ここで反応速度定数をそれぞれ、
① A→B k1
①’ B→A k‘1
② B→C k2
とすると、
d[B]/dt=0=k1[A]-k‘1[B]-k2[B]
これさえできればあとは単なる計算作業になる。
練習問題
問題
Pt在下でのエチレン水素化について次の機構が提案されている。
定常状態近似をして反応速度式を導け。
$$①\ce{ Pt + H2 → 2H + Pt} (速度定数k1)$$
$$②\ce{ H + C2H4 → C2H5} (速度定数k2)$$
$$③\ce{C2H5 + H2 → C2H6 + H} (速度定数k3)$$
$$④\ce{2H + Pt → H2 + Pt} (速度定数k4)$$
答え
今回の中間体は\(\ce{H,C2H5}\)だから、定常状態近似を使って
\(\ce{-d[H]/dt}\) = \(\ce{2k1 [Pt][H2] − k2[H][C2H4] + k3[C2H5][H2] − 2k4[H]2 [Pt] = 0 } ・・・(1)\)
\(\ce{-d[C2H5]/dt }\)= \(\ce{k2[H][C2H4] − k3[C2H5][H2] = 0 ・・・(2)}\)
の様に書ける。
(1)と(2)より、
\(\ce{2k1[Pt][H2] − 2k4[H]2[Pt] = 0}\)
\(\ce{∴ k1[H2] = k4[H]2・・・(3)}\)
反応物の\(\ce{C2H4}\) の消費速度は
\(\ce{d[C2H4]/dt }\)= \(\ce{k2[H][C2H4]} ・・・(4)\)
(3)式をに(4)代入して、
\(\ce{−d[C2H4]/dt}\) = \(\ce{k2[H][C2H4] = k2\sqrt{k1[H2]/k4}[C2H4]}\)
これが答えになります!
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