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平衡距離r0と安定性指標S0の意味と導出方法を解説!【分子や原子間の相互作用】

分子や原子間の相互作用は、単純なクーロン力だけでなく、補正ポテンシャルも加味することでより精緻にモデル化することができます。

以下では、このクーロン力と補正ポテンシャルの間での平衡距離 ( r0 ) と、平衡点における安定性指標 ( S0 ) について解説します!


1. 相互作用ポテンシャルの式

クーロン相互作用と補正ポテンシャルを含む二つの粒子間のポテンシャルエネルギー ( U(r) ) は、一般的に次のように表されます:

\(\Large{
U(r) = \frac{q^2}{4 \pi \varepsilon_0 r} + \frac{B}{r^n}
}\)

ここで、

  • ( \(\frac{q^2}{4 \pi \varepsilon_0 r}\) ) はクーロンポテンシャルを表し、粒子の間に働く引力(または斥力)を示します。
  • ( \(\frac{B}{r^n}\) ) は補正ポテンシャルであり、粒子間の距離 ( r ) に依存した追加の力を表します。 ( B ) は定数、 ( n ) は補正ポテンシャルのべき乗の指数です。

2. 平衡距離 ( r0 ) の導出

相互作用系の平衡距離 ( r0 ) では、ポテンシャルエネルギー ( U(r) ) の一階微分(力)がゼロになります。これは、二つの相反する力(クーロン力と補正ポテンシャルの力)が釣り合う点です。

\(\Large{
F(r) = -\frac{dU(r)}{dr} = 0
}\)

具体的に微分を行い、平衡条件 ( r = r_0 ) における関係式を得ると:

\(\Large{
\frac{q^2}{4 \pi \varepsilon_0 r_0^2} = n \frac{B}{r_0^{n+1}}
}\)

この式を用いることで、平衡距離 ( r0 ) はクーロン力と補正ポテンシャルの相互作用のバランスによって決まることがわかります。これは、分子や原子がどの位置で安定するかを示す重要な指標です。


3. 安定性指標 ( S_0 ) の導出

平衡距離 ( r0 ) におけるポテンシャルカーブの曲率は、系がその平衡点でどれだけ「束縛」されているか、あるいは「変形しにくさ」を示します。この曲率はポテンシャルエネルギー ( U(r) ) の二階微分によって得られ、安定性指標 ( S0 ) として表されます。

\(\Large{
S = \frac{d^2 U(r)}{dr^2} \Bigg|_{r = r_0}
}\)

この二階微分を計算すると、平衡点における ( S0 ) は次のようになります:

\(\Large{
S_0 = (n – 1) \frac{q^2}{4 \pi \varepsilon_0 r_0^3}
}\)

この式からわかるように、( S0 ) は ( r0 ) における安定性を示す指標であり、数値が大きいほどその平衡位置に対する「弾性」が強いことを意味します。逆に ( S0 ) が小さい場合、平衡点での安定性が低い、あるいはより「柔らかい」ことを示しています。


まとめ

  • 平衡距離 ( r0 ) は、クーロン力と補正ポテンシャルが釣り合う点で決定され、粒子間の安定位置を表します。
  • 安定性指標 ( S0 ) は、平衡点におけるポテンシャルカーブの曲率を表し、系の弾性や硬さを示します。
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