アインシュタインの残したものの中でも有名なのが、特殊相対性理論と一般相対性理論。
今回は、そんな相対論に関する事柄を扱っていきます!
そもそも相対論効果とは?
今回扱う相対論効果とは、「光速付近で運動する物体の質量は、静止しているときよりも重くなる」
というものです。
式にすると、
\(\Large{ m =\frac{m_0}{\sqrt{1-(\frac{v^2}{c^2})}}}\)
\(m:運動中の質量, m_0:元の質量, v:物体の質量, c:光速\)
金と銀の色の違い
まず金の色について詳しく解説した後に、銀の色の解説をしたいと思います。
ではまず金の色の解説から。
金の色の解説その1「電子軌道」
突然ですが、ボーアの模型を覚えていますか?
詳しい説明は省きますが、あれから、
原子番号 Z の原子では,1s軌道の電子の形式的な速度がZ 倍になる
ことがわかります。
すると、相対論効果の式より、
原子番号79の金では、1s軌道の重さがおよそ1.2倍になることが分かります!
電子が重くなれば、その分原子核に強く引き付けられるので、1s軌道が収縮します。
軌道の直交性により、1s 軌道の収縮に伴って、全ての s, p 軌道が縮小、d, f 軌道が拡大します。
軌道が収縮すると原子核と電子が引き合って安定化するので、軌道の持つエネルギーが下がります。
逆に拡大するとエネルギーは上がります。
ここまでは大丈夫ですか?
まとめると、
相対論効果によって、s, p軌道は安定化し、d, f軌道は不安定化するということです。
金の色の解説その2「電子配置」
次に、金の電子配置について書きます。
金の電子配置は、Au:\( [Xe] 4f^{14} 5d^{10} 6s^1\)です。
一番エネルギーが高い軌道は5s軌道です。それが6p軌道に上がるよりは、満杯になっている5d軌道から6s軌道に上がる方がエネルギー的に優先されます。
その二つの軌道のエネルギー差が相対論効果によって小さくなるので(∵解説その1)、
金原子の最低励起エネルギーは2.4eV( 約500nm )という可視光領域に入ります。
よって、青から紫の光を吸収し、赤と黄色を反射するので、金原子は「金色」に輝くのです!!
これで金の解説は終わりです!
ということで、次は銀の解説です。
銀の色の解説
銀の原子番号は47で、金より小さいです。
よって、相対論効果が無視できるくらい電子の速さも遅いです。
銀は4d軌道から5s軌道に励起しますが、相対論的な効果が小さいのが関係して、4d バンド→5s バンドの遷移が紫外領域に対応します。
その結果、銀は可視光を吸収することなく、一般的な金属光沢をもつ無色 (銀色) を示します。書いててつまんないですね。
相対論効果の影響
相対論効果の影響としては、
- 水銀が常温で液体であること
- ランタノイド収縮
などがあります。よかったら調べてみてください!
参考文献
細矢治夫「化学と教育」2012
コメント