MENU

【競・不・非】酵素の阻害剤三種類の違いを例えを用いて解説!

今回は生命化学の内容です。

目次

阻害剤について

阻害剤とは、酵素の触媒機能を阻害する物質のことです。

阻害剤があると、酵素が通常通りに役割を果たせず反応速度が遅くなってしまいます。

では、その阻害剤にはどのような種類があり、どう違うのでしょうか?

阻害剤の種類

タイトルにも書きましたが、酵素の阻害剤には3つの種類があります、。

  • 競合阻害剤
  • 不競合阻害剤
  • 非競合阻害剤

の3つです。

というわけでそれぞれについて解説していきましょう

競合阻害剤

まず、最も一般的な競争阻害剤からです。

競合阻害では、阻害剤(I)は基質(S)と同じところ(活性部位)に結合するので、基質と活性部位を奪い合います。

これが「競合」阻害剤の名前の由来となっているわけです。

その結果、以下の反応が起こります。

これだと少しイメージしにくいので、例えを使って解説していきたいと思います。

競合阻害のイメージ

イメージしやすくするために、酵素を機械基質をケーキ生成物をチーズとして、ケーキをチーズに変える反応を考えてみましょう。

(「ケーキをチーズに変える反応って何だよ」ってなりますが、いい図がなかったので許してください)

まず、阻害剤なしの場合がこちら。

次に競合阻害剤ありの場合がこちら。

黒いケーキが競合阻害剤です。

働いていない酵素(機械のアーム)の一部が競合阻害剤(黒いケーキ)と結合してしまうわけです。

ちなみに結合している部位ですが、機械の掴む部分が活性部位だと思ってください。そう思うことで、競合阻害剤は活性部位で結合するイメージを持ってくれると嬉しいです。

ちなみに、基質の活性部位と結合する阻害剤はこの競合阻害剤だけです。

反応速度への影響

上のように競合阻害剤が働くと、一部の酵素が基質と結合できなくなります。

その結果、見かけの酵素濃度が減るので酵素反応の初速度は以下のようになります。

\(\Large{V_0 = \frac{V_max[S]}{(1 + \frac{[I]}{K_I})K_M + [S]} = \frac{V_(max) [S]}{\alpha K_M + [S]}}\)

また、上のイメージから考えてみてほしいのですが、たとえ競合阻害剤が少量あったとしても、基質の量を増やせば増やすほど、競合阻害剤が酵素と結合する確率はどんどん小さくなっていきます。

                               

不競合阻害剤

不競合阻害では、阻害剤は、ES複合体(酵素-基質複合体)にのみ結合し、遊離の酵素には結合しません。

基質の濃度がすごく高くて酵素が全部働いてる(基質酵素複合体になっている)とき、酵素反応の反応速度は最大(Vmax)になることを思い出してください。

不競合阻害剤のイメージ

不競合阻害剤をお邪魔虫みたいなイメージで考えてみましょう。

すると、お邪魔虫(不競合阻害剤)は稼働中の機械(酵素-基質複合体)に悪さをして、せっかく動いていた機械を止めてしまいます。

ここで大事なのは、

不競合阻害剤が結合するのは酵素-基質複合体なので、基質濃度を上げてもVmaxの減少は回復しない

ということです。

つまり先ほどと違い、基質と競合しているわけではないということですね。これが「不」競合阻害剤と呼ばれる所以です。

反応速度への影響

ESIの生成により、基質が結合している酵素の割合が増えるので、見かけ上、酵素の基質に対する親和性が上がったようになり、KMが減少したように見えます。

しかし、それはあくまで見かけ上で、実際はしっかりVmaxが小さくなります。

結局、不競合阻害の反応速度式は、以下のようになります。

\(\Large{V_0 = \frac{(V_{max}/(1+\frac{[I]}{K^{\prime}_1}))[S]}{K_M/(1 + \frac{[I]}{K^{\prime}_1}) + [S]} = \frac{(V_{max}/\alpha^{\prime}) [S]}{(K_M/\alpha^{\prime})+ [S]}}\)

非競合阻害剤

最後は非競合阻害剤です。

この阻害剤の特徴は、EにもESにも「等しく」結合し、酵素の働きを阻害するというところです。

非競合阻害では、阻害剤はSとは別のところに結合します。

そして、酵素の構造に影響を与えることにより、酵素反応速度に影響を与えると考えられます。

非競合阻害剤のイメージ

今回はコアラが非競合阻害剤です。非競合阻害では、阻害剤は基質とは別のところに結合するので、機械の手の部分(活性部位)ではなく、腕の部分にコアラを掴まらせてみました。

画像をよく見ると、非競合阻害剤と結合した酵素には、コアラが引っ付いています。

コアラが引っ付いても酵素の活性部位(掴む部分)は空いているので、基質と結合できますが、コアラが邪魔で生成物をつくることは出来ません。

反応速度式への影響

上の例から、正常な機械(EまたはES)の一部がコアラ付きの機械(EIまたはESI)になってしまうのがイメージできます。

すると見かけ上、正常な機械の総数(総酵素濃度ET)が低下したことになります。

よって反応速度式は以下のようになります。

\(\Large{\frac{(V_{max}/1 + frac{[I]}{K^{\prime}_I})[S]}{K_M + [S]} = frac{(V_{max}/\alpha^{\prime}[S]}{K_M + [S]}}\)

以上で阻害剤三種類については終わりです!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次