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AIBNがBPOより開始剤効率が低い理由を解説【かご効果】

ラジカル重合で用いる開始剤の中には、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)に代表されるアゾ化合物や、BPO(過酸化ベンゾイル)に代表される有機過酸化物系などがありますが、一般的にアゾ化合物は有機過酸化物よりも開始剤効率が低いです。

今回はこの理由について解説します。

目次

かご効果

解説の前に、かご効果について説明します。

かご効果とは、ラジカル開始剤からできたラジカルが一定の範囲から抜け出して拡散しないと、再度結合してしまうという現象のことです。

一定の範囲を「かご」に見立てて、「かご効果」と呼んでいるのだと思います。

AIBNがBPOより開始剤効率が低い理由

続いて、先ほど説明したかご効果を用いて、AIBNがBPOより開始剤効率が低い理由を解説します。

上でも述べた通り、AIBNはアゾ化合物で、BPOは有機過酸化物です。

ここで大切なのは、アゾ化合物は開始反応でN2が脱離して反応系の外に行ってしまうので、開始反応が不可逆だということです。つまり、1つのアゾ化合物からできた2つのラジカルが再びくっついても、気体として放出されたN2の分、それはもとの開始剤ではなくなってしまっているということです。

これとかご効果により、AIBNがBPOより開始剤効率が低い理由は説明できます。

BPOのような有機過酸化物は、かご効果により、生成ラジカルが再度結合してしまっても、容易にまた開始反応を起こしてもう一度ラジカルになることが出来ますが、AIBNのようなアゾ化合物ではかご効果により生成ラジカルが結合してしまったらそこで反応が停止してしまいます。AIBNはBPOと違って、チャンスは一度きりだということです。

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